【初心者向け完全ガイド】家の売却後、確定申告で必要な書類は?損しない特例や手続きの流れも解説

記事の目次
「長年住んだ家を売却したけど、確定申告って何をすればいいんだろう?」
「書類がたくさんあって、どれが必要なのかさっぱり分からない…」
「損をしないように、使える控除は全部使いたいけど、手続きが難しそう…」
人生でそう何度も経験しない家の売却を終え、初めての確定申告を前に、このような不安を抱えていませんか。
普段は年末調整で済ませている方にとって、確定申告は未知の世界で、戸惑うのも当然です。
ご安心ください。この記事を読めば、家の売却後に必要な書類がチェックリスト形式で分かり、手続きの全体像から節税のポイントまで、初心者の方でもつまずかずに理解できます。
この記事を最後まで読めば、あなたは自信を持って確定申告の準備を進められるようになります。
【最初のステップ】あなたのケースは?家の売却で確定申告が必要か簡単チェック
まず最初に、「そもそも自分は確定申告が必要なのか?」という疑問を解決しましょう。
家の売却における確定申告の要否は、主に3つのケースに分けられます。
ご自身の状況がどれに当てはまるか、確認してみてください。
ケース1:売却で利益(譲渡所得)が出た場合 → 申告義務あり
家の売却によって利益が出た場合、その利益には「譲渡所得税」がかかります。
そのため、法律により確定申告をする義務があります。
利益(譲渡所得)は、以下の簡単な式で計算できます。
譲渡所得 = 売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)
この計算でプラスになった場合は、会社員の方でも必ず確定申告が必要です。
これは、給与所得とは別に計算する「分離課税」という仕組みのためです。
ケース2:売却で損失が出た場合 → 申告義務はないが、特例利用で節税のチャンス
反対に、売却によって損失が出てしまった場合、確定申告の義務は原則としてありません。
しかし、ここで「何もしなくていいんだ」と考えるのは早計です。
「損益通算及び繰越控除の特例」という制度を利用するために確定申告をすれば、給与所得など他の所得にかかる税金が戻ってくる(還付される)可能性があります。
つまり、申告をすることで金銭的なメリットが生まれるのです。
ケース3:利益がゼロでも「3,000万円特別控除」などの特例を使う場合 → 申告が必要
「3,000万円特別控除」などの特例を使うと、売却益が実質ゼロになるケースは多くあります。
この場合、納める税金は0円ですが、特例の適用を受けるためには確定申告が必須です。
これらの特例は、何もしなくても自動的に適用されるわけではありません。
自分で「この特例を使います」と申告して初めて、その恩恵を受けられます。
申告を忘れると、大きな節税の機会を逃してしまうので注意が必要です。
【チェックリスト付】家の売却における確定申告の必要書類一覧と入手方法
確定申告が必要だと分かったら、次は書類の準備です。
家の売却に関する確定申告では、様々な書類が必要になります。
ここでは、「全員が必要な基本書類」と「特例を利用する場合に必要な追加書類」に分けて、分かりやすく一覧にしました。
まずは、全員に関わる基本の書類から確認していきましょう。
全員が揃えるべき基本の必要書類9点
以下の表は、家の売却で確定申告をする際に、基本的に全員が必要となる書類のチェックリストです。
どこで手に入れられるかも記載しているので、一つずつ確認しながら準備を進めましょう。
| 書類名 | 主な入手先・備考 |
|---|---|
| 1. 確定申告書 (第一表、第二表、第三表) |
税務署、国税庁のWebサイト ※国税庁「確定申告書等作成コーナー」で作成すれば自動で印刷できます。 |
| 2. 譲渡所得の内訳書 (計算明細書) |
税務署、国税庁のWebサイト ※不動産売却の収支を計算する、申告の根幹となる重要書類です。 |
| 3. 売却した家の売買契約書の写し | ご自身で保管(不動産会社から受領) ※「いくらで売れたか」を証明します。 |
| 4. 購入した時の家の売買契約書の写し | ご自身で保管 ※「いくらで買ったか」を証明する最重要書類。紛失すると税額が増える可能性があります。 |
| 5. 取得費がわかる領収書等の写し | ご自身で保管 ※購入時の仲介手数料や各種税金など、取得にかかった費用の証明書類です。 |
| 6. 譲渡費用がわかる領収書等の写し | ご自身で保管 ※売却時の仲介手数料や印紙税など、売却に直接かかった費用の証明書類です。 |
| 7. 売却した家の登記事項証明書 | 法務局 ※不動産の所有者や面積などを公的に証明します。オンラインでも取得可能です。 |
| 8. 本人確認書類 | ご自身で準備 ※マイナンバーカード、またはマイナンバー通知カード+運転免許証など。 |
| 9. 源泉徴収票 | 勤務先(給与所得者の場合) ※給与所得者が確定申告をする際に必要です。 |
確定申告書(第一表、第二表、第三表)
これらは年間の所得全体を申告するための基本フォームです。
特に第三表は、不動産売却のような「分離課税」の対象となる所得を申告する際に使います。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、必要な項目を入力するだけで自動的に作成されるため、初心者の方でも安心です。
譲渡所得の内訳書(計算明細書)
この書類で、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引き、課税対象となる譲渡所得を計算します。
売却した不動産の情報や金額を具体的に記入する必要があり、確定申告全体の計算の基礎となる非常に重要な書類です。
売却した家の売買契約書の写し
「いくらで家が売れたか」という売却価格を税務署に証明するための書類です。
売却時に不動産会社と取り交わした契約書をコピーして準備します。
購入した時の家の売買契約書の写し
「いくらでその家を購入したか」という取得費を証明するための、非常に重要な書類です。
もし紛失してしまうと、取得費を「売却価格の5%」として計算する「概算取得費」が適用され、税額が大幅に高くなる可能性があります。
大切に保管している書類の中から、必ず探し出しましょう。
取得費・譲渡費用がわかる領収書などの写し
譲渡所得を計算する際、経費として認められる費用を証明するための書類です。
- 取得費の例:購入時の仲介手数料、印紙税、不動産取得税、登録免許税など
- 譲渡費用の例:売却時の仲介手数料、印紙税、測量費、建物の解体費など
これらの領収書をできるだけ多く集めることが、節税に直結します。
売却した家の登記事項証明書
売却した不動産の所在地、面積、所有者などの公式な情報を証明する書類です。
管轄の法務局の窓口や、オンラインで請求することができます。
源泉徴収票
給与所得者が確定申告をする際に必要となる書類です。
勤務先から年末または退職時に交付されます。
【節税の鍵】特例を利用する場合の追加書類|ケース別に解説
確定申告で損をしないためには、ご自身の状況に合った特例を最大限に活用することが不可欠です。
特例を適用するには、基本書類に加えて、その特例専用の書類を提出する必要があります。
ここでは、代表的な特例と、それぞれに必要な追加書類を分かりやすく解説します。
| 特例の名称 | どんな制度? | 主な追加書類の例 |
|---|---|---|
| 居住用財産3,000万円特別控除 | マイホーム売却益から最大3,000万円を控除できる制度。 | ・戸籍の附票の写し(売却した家の住所と現住所が違う場合など) |
| 被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除 | 相続した空き家の売却益から最大3,000万円を控除できる制度。 | ・被相続人居住用家屋等確認書 ・耐震基準適合証明書 など |
| 軽減税率の特例 | 所有期間10年超のマイホーム売却で、税率が低くなる制度。 | ・特に追加書類は不要なことが多いが、登記事項証明書などで所有期間を確認。 |
| 譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 | マイホーム売却の損失を他の所得と相殺し、税金の還付を受けられる制度。 | ・譲渡損失の金額の明細書 ・住宅ローンの残高証明書(買い換えの場合など) |
マイホーム売却で最大3,000万円控除!「居住用財産3,000万円特別控除」
マイホームを売却した際に最もよく利用される、非常に節税効果の高い特例です。
この特例を適用するためには、基本書類に加えて、売却した家に確かに住んでいたことを証明する必要があります。
特に、売却した時点で既に引っ越していて、住民票の住所が家の所在地と異なる場合は、「戸籍の附票の写し」などを提出し、過去の居住事実を証明します。
この特例には「住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること」という期限があります。
例えば、2022年4月に引っ越した場合、2025年12月31日までに売却する必要があります。
相続した実家の売却なら「被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除」
相続したご実家(空き家)を売却した方が対象となる特例です。
適用には「相続開始から3年後の年末までに売却する」などの条件があります。
この特例で最も重要な追加書類が「被相続人居住用家屋等確認書」です。
これは、空き家が所在する市区町村の役所で申請・交付してもらう書類で、取得に時間がかかる場合もあるため、早めに手続きを始めましょう。
所有期間10年超なら税率がお得に!「軽減税率の特例」
売却した年の1月1日時点で、家の所有期間が10年を超えている場合に利用できる特例です。
譲渡所得にかかる税率が通常よりも低く抑えられます。
この特例は「3,000万円特別控除」と併用できるため、両方の要件を満たす場合は大きな節税につながります。
必要な書類は基本書類に含まれるものがほとんどですが、登記事項証明書で所有期間を明確に証明します。
損失が出た場合に税金が戻る!「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
家の売却で損失が出た場合に、その損失を給与所得や事業所得など他の黒字の所得と相殺できる制度です。
相殺することで、既に納めた所得税が還付されることがあります。
この特例を適用する際には、損失額を計算するための「譲渡損失の金額の明細書」が必要です。
また、新しい家を住宅ローンで購入して買い換える場合は、年末時点での「住宅ローンの残高証明書」も必要になります。
確定申告の全体像を4ステップで理解!手続きの進め方と期限
必要書類がイメージできたところで、次は実際の手続きの流れを確認しましょう。
初めての方でも迷わないように、全体の流れを4つのシンプルなステップに分けました。
いつまでに何をすれば良いのか、しっかり把握しておきましょう。
ステップ1:必要書類を漏れなく準備する(申告期間前)
確定申告の期間は、原則として家を売却した翌年の2月16日から3月15日までです。
この期間が始まってから書類集めを始めると、慌ててしまったり、書類の取得が間に合わなかったりする可能性があります。
年が明けたら、前述のチェックリストを参考に、早めに書類の収集をスタートさせましょう。
ステップ2:「譲渡所得の内訳書」で所得を計算する
集めた書類をもとに、まずは「譲渡所得の内訳書」を作成します。
この書類に、売買契約書や領収書を見ながら、売却価格、取得費、譲渡費用などの金額を記入していきます。
項目を埋めていくと、課税対象となる譲渡所得の金額が算出されます。
ここが確定申告における計算のハイライトであり、最も重要な部分です。
ステップ3:国税庁HP「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成する
譲渡所得の計算ができたら、いよいよ申告書の作成です。
初心者の方に最もおすすめなのが、国税庁のWebサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用する方法です。
画面の案内に従って、給与の源泉徴収票の内容や、先ほど計算した譲渡所得の金額などを入力していくだけで、必要な申告書が全て自動で作成されます。
計算ミスも防げるため、非常に便利で安心です。
ステップ4:税務署へ提出・納税する(期限:翌年3月15日まで)
完成した申告書は、3月15日の期限までに税務署へ提出します。
提出方法は、ご自身の都合に合わせて選ぶことができます。
| 提出方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| e-Tax(電子申告) | ・自宅から24時間提出可能 ・添付書類の一部を省略できる ・還付が早い |
・マイナンバーカードが必要 ・初期設定が少し複雑に感じる場合がある |
| 郵送 | ・税務署に行かずに済む | ・書類の不備があった場合にやり取りに時間がかかる ・受理されたか確認しづらい |
| 税務署へ持参 | ・その場で職員に確認してもらえる安心感がある | ・申告期間中は非常に混雑し、長時間待つことが多い |
納税が必要な場合は、原則として申告期限と同じ3月15日までに納付します。
口座からの自動引き落としである「振替納税」や、クレジットカードでの納付も可能です。
家の売却と確定申告Q&A|よくある疑問や不安を解消
最後に、家の売却と確定申告に関して、多くの方が抱く疑問や不安にお答えします。
Q1. 確定申告を忘れた・期限に間に合わなかったらどうなる?
万が一、確定申告を忘れてしまった場合や、期限に間に合わなかった場合でも、気づいた時点ですぐに申告・納税を行いましょう。
申告を怠ると、本来納めるべき税金に加えて、ペナルティが課せられる可能性があります。
- 無申告加算税:期限内に申告しなかったことに対するペナルティ。税額に応じて最大20%が加算されます。
- 延滞税:納税が遅れたことに対する利息のようなもの。遅れるほど金額が増えていきます。
税務署は不動産の登記情報などから売却の事実を把握しています。
後から指摘されて多額のペナルティを支払うことにならないよう、必ず期限内に申告を済ませましょう。
Q2. どうしても自分で手続きするのが難しい…税理士に頼むべき?費用は?
「書類が多くて手に負えない」「特例の判断が複雑で分からない」など、自分での手続きが難しいと感じた場合は、税金の専門家である税理士に依頼するのも賢明な選択です。
| 自分で申告する場合 | 税理士に依頼する場合 | |
|---|---|---|
| メリット | ・費用がかからない | ・正確でミスの心配がない ・最適な節税方法を提案してくれる ・時間と手間を大幅に削減できる |
| デメリット | ・時間と手間がかかる ・計算ミスや申告漏れのリスクがある |
・費用がかかる(一般的に10万円~20万円程度とされています) |
費用はかかりますが、複雑な手続きから解放され、最適な節税ができる安心感を得られるメリットは大きいと言えます。
特に、売却額が大きい場合や、複数の特例が絡む場合は、専門家に相談することを検討してみましょう。
まとめ|家の売却後の確定申告は、早めの書類準備でスムーズに!
家の売却後の確定申告は、初めての方にとっては難しく感じるかもしれません。
しかし、手順を一つずつ理解し、計画的に準備を進めれば、決して乗り越えられない壁ではありません。
最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。
- まずは申告が必要か確認:利益が出た場合や特例を使いたい場合は申告が必要です。
- チェックリストで書類準備:年が明けたら、この記事のリストを参考に早めに書類を集め始めましょう。特に購入時の売買契約書は重要です。
- 自分に合う特例を活用:3,000万円控除など、使える特例を漏れなく適用することが最大の節税ポイントです。
- 期限は翌年3月15日:国税庁の作成コーナーを活用し、ペナルティを受けないよう期限内に申告・納税を済ませましょう。
この記事が、あなたの不安を解消し、スムーズな確定申告の一助となれば幸いです。
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