離婚時に家の査定はなぜ必要?売却・住み続ける場合の財産分与と手順を解説

離婚を考えるなかで、「家はいくらで評価すればいい?」「売却した方がいい?」「どちらかが住み続ける場合はどう分ける?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
婚姻中に夫婦が協力して取得した家は、財産分与を考えるうえで重要な財産のひとつです。購入時の価格ではなく、現在の価値を把握しておくことで、売却する・どちらかが住み続ける・住宅ローンをどう処理するといった選択肢を具体的に検討しやすくなります。
この記事では、離婚時に家の査定が重要な理由から、査定の依頼先、売却・住み続ける場合の考え方、財産分与までの流れ、税金や住宅ローンの注意点まで分かりやすく解説します。
この記事の目次
離婚時の財産分与で「家の査定」が重要な理由
財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して取得した財産を、離婚の際または離婚後に分けることです。
家は高額な財産であることが多いため、現在どのくらいの価値があるのかを把握することが、財産分与を検討する際の重要なポイントとなります。
家の現在価値を把握し、話し合いの基準にするため
不動産の価格は、購入時から変動している可能性があります。そのため、「購入したときは3,000万円だったから、今も3,000万円」と考えるのは適切ではありません。
立地や築年数、建物の状態、周辺の取引事例、不動産市場などを踏まえて査定し、現在の売却価格の目安を知ることで、夫婦間の話し合いを進めやすくなります。
| 評価方法 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 購入価格を基準にする | 購入時の金額なので分かりやすい | 現在の市場価格とは異なる可能性がある |
| 不動産会社の査定 | 現在の売却価格の目安を把握しやすい | 会社によって査定額が異なる場合がある |
売却するか住み続けるかを判断する材料になる
査定によって家の現在価値が分かれば、住宅ローン残高と比較できます。
売却によってローンを完済できそうなのか、それとも売却してもローンが残る可能性があるのかによって、選択肢は大きく変わります。
| 選択肢 | 確認したいポイント |
|---|---|
| 家を売却する | 売却見込額、住宅ローン残高、売却費用、手元に残る金額 |
| どちらかが住み続ける | 所有名義、ローン名義、返済能力、相手への財産分与方法 |
💡ポイント:「査定額=必ずその金額で売れる」という意味ではありません。査定額は、不動産会社が物件の状態や周辺の取引事例などをもとに算出する売却価格の目安です。
離婚時の家の査定は「誰に」「どう」依頼する?
家の価値を確認する方法として、不動産会社による「査定」と、不動産鑑定士による「鑑定評価」があります。
どちらを利用するかは、売却価格の目安を知りたいのか、夫婦間で不動産の評価額に争いが生じているのかによって考えましょう。
売却価格の目安を知るなら不動産会社へ査定を依頼
家を売却する可能性がある場合や、まず現在の市場価格を把握したい場合は、不動産会社に査定を依頼する方法があります。
不動産会社の査定には、大きく「机上査定」と「訪問査定」があります。
| 査定方法 | 方法 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 机上査定 | 物件情報や周辺の取引事例などをもとに概算する | まずおおよその価格を知りたい場合 |
| 訪問査定 | 現地を確認し、建物の状態や周辺環境なども踏まえて査定する | 売却を具体的に検討している場合 |
評価額について争いがある場合は不動産鑑定士への依頼も検討
夫婦双方が主張する不動産の評価額に大きな差があり、話し合いがまとまらない場合には、不動産鑑定士による鑑定評価を検討するケースもあります。
裁判所の資料でも、財産分与で不動産の評価額に争いがある場合に、不動産鑑定士による鑑定が行われるケースがあることが示されています。
| 依頼先 | 主な目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 不動産会社 | 売却価格の目安を把握する | 一般的に査定は無料。実際の売却を見据えた価格を検討しやすい |
| 不動産鑑定士 | 専門的な鑑定評価を行う | 有料。評価額を巡る争いがある場合などに検討される |
⚠️注意:不動産会社の査定書と不動産鑑定士の鑑定評価書は目的が異なります。調停・審判・訴訟などに発展している場合は、弁護士などの専門家に必要な資料を確認しましょう。
【売却・住み続ける】ケース別の財産分与と家の査定
査定後の代表的な選択肢は、「家を売却する」「夫婦のどちらかが住み続ける」の2つです。
家を売却し、手元に残ったお金を分けるケース
家を売却する場合は、売却代金から住宅ローンの残債や売却に必要な費用などを差し引き、残った金額を財産分与についての合意内容に沿って分ける方法があります。
不動産そのものを分けるのではなく現金化できるため、離婚後に家の共有関係を残したくない場合にも検討しやすい方法です。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 売却見込額 | 査定を受けて現在の売却価格の目安を確認する |
| 住宅ローン残高 | 売却代金でローンを完済できるか確認する |
| 売却費用 | 仲介手数料や登記関係費用などを見込んでおく |
| 税金 | 譲渡所得が生じる場合は所得税・住民税の確認が必要 |
マイホームの売却で譲渡所得が生じた場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
💡ポイント:3,000万円特別控除には適用要件があります。共有名義のマイホームでは、適用可否や譲渡所得の計算は共有者ごとに判定されます。
どちらかが家に住み続けるケース
子どもの学校を変えたくないなどの理由から、離婚後も夫婦の一方が家に住み続けたいケースもあります。
この場合、不動産を取得する側が、財産分与全体のバランスを調整するため相手に金銭を支払う方法などが考えられます。その際にも、家をいくらと評価するかが重要になります。
| 確認事項 | 確認するポイント |
|---|---|
| 所有名義 | 誰の名義になっているか、共有名義の場合はそれぞれの持分も確認する |
| ローン名義 | 所有名義とは別に、債務者・連帯債務者・連帯保証人が誰になっているか確認する |
| ローン返済 | 住み続ける側が離婚後も無理なく返済できるか、必要に応じて金融機関へ借り換えや契約変更の可否を確認する |
| 財産分与 | 家の評価だけでなく、預貯金など他の対象財産も含めて分与方法を検討する |
⚠️住宅ローンに注意:夫婦間で「今後は夫(妻)だけが返済する」と決めても、それだけで金融機関とのローン契約上の債務者や連帯保証人から外れるわけではありません。借り換えや債務者変更を希望する場合は、金融機関への確認が必要です。
離婚時の家の査定から財産分与までの手順
離婚時に家がある場合は、いきなり「売る・住み続ける」を決めるのではなく、家と住宅ローンの状況を整理してから検討すると進めやすくなります。
1. 家の名義と住宅ローン残高を確認する
まず確認したいのが、「不動産の所有名義」、「住宅ローンの契約内容」、「現在のローン残高」です。
| 確認項目 | 主な確認方法 |
|---|---|
| 不動産の所有者 | 登記事項証明書などで所有者・持分を確認する |
| 住宅ローンの契約 | 契約書などで債務者・連帯債務者・連帯保証人を確認する |
| 住宅ローン残高 | 残高証明書、返済予定表、金融機関などで確認する |
2. 家の査定を受けて現在の価値を把握する
次に、不動産会社へ査定を依頼し、現在の売却価格の目安を確認します。
査定額は不動産会社によって異なる場合があるため、必要に応じて複数社の査定額や査定根拠を比較するとよいでしょう。
| 比較するポイント | 確認内容 |
|---|---|
| 査定額 | 他社と大きな差がないか確認する |
| 査定根拠 | 周辺の成約事例や物件の特徴が反映されているか確認する |
| 売却方法 | 想定する売出価格や販売期間について説明を受ける |
3. 査定額とローン残高を比較する
査定を受けたら、家の売却見込額と住宅ローン残高を比較します。
| 状態 | 考え方 |
|---|---|
| 売却見込額 > ローン残高 | 売却費用などを差し引いて資産価値が残る可能性がある |
| 売却見込額 < ローン残高 | 売却だけではローンを完済できない可能性があるため、売却方法や不足分の返済方法を検討する必要がある |
⚠️オーバーローンの場合:家の評価額より住宅ローン残高の方が大きいからといって、一律に「家は財産分与の対象外」と断定できるわけではありません。家・ローン・その他の夫婦共有財産など、具体的な状況を踏まえて検討する必要があります。話し合いが難しい場合は、弁護士などの専門家へ相談しましょう。
4. 売却・居住継続などの方針を話し合う
家の価値とローン残高が分かったら、売却するのか、どちらかが取得して住み続けるのかを話し合います。
預貯金など他の財産も含めて、財産分与全体としてどのように分けるかを整理しましょう。
5. 合意した内容を書面に残す
財産分与について夫婦で合意できた場合は、対象となる不動産、所有権の移転時期、売却代金の分配、金銭の支払方法などを具体的に書面へ残しておくことが大切です。
金銭の支払いを取り決める場合などは、公正証書の作成を検討するケースもあります。内容や作成方法について不安がある場合は、弁護士や公証役場などへ確認しましょう。
💡2026年4月から制度が変更:2026年4月1日以後に離婚した場合、離婚後に家庭裁判所へ財産分与の調停・審判を申し立てられる期間は、離婚した日の翌日から5年です。2026年4月1日より前に離婚した場合は、原則として離婚した日の翌日から2年となります。
損やトラブルを防ぐ!離婚時の家査定・売却の注意点
離婚時の不動産は、査定額だけでなく、所有名義・住宅ローン・税金・手続きのタイミングまで確認する必要があります。
共有名義の家全体を売るには共有者の合意が必要
夫婦の共有名義となっている家について、家全体を第三者へ売却する場合は、共有者全員で売却を進める必要があります。
離婚後に相手と連絡を取りにくくなると、売却手続きが進めにくくなる可能性もあります。売却を希望する場合は、価格や売却時期、売却代金の分配方法などについて早めに話し合っておきましょう。
| 名義 | 売却時の主なポイント |
|---|---|
| 単独名義 | 原則として所有者が売却手続きを行う。ただし、財産分与や居住状況など離婚特有の問題は別途整理が必要 |
| 共有名義 | 家全体の売却には共有者全員で手続きを進める必要がある |
住宅ローンの名義は離婚だけでは変わらない
離婚したからといって、住宅ローンの契約内容が自動的に変更されるわけではありません。
例えば、夫名義の住宅ローンが残っている家に妻と子どもが住み続ける場合などは、ローン契約と実際の居住・所有関係が複雑になることがあります。
所有権を移す場合や、債務者・連帯債務者・連帯保証人の変更を希望する場合は、必ず金融機関に確認しましょう。
査定は離婚前でも可能!財産移転のタイミングは慎重に
家の査定や売却に向けた情報収集を、必ず離婚成立後まで待つ必要はありません。むしろ、離婚前から家の価値やローン残高を把握しておけば、財産分与について具体的に話し合いやすくなります。
一方、不動産そのものを相手へ移転する場合は、手続きを行う時期によって税務上の扱いが異なる可能性があります。
| 場面 | 税務上の注意点 |
|---|---|
| 婚姻中に配偶者へ不動産を無償で移転 | 財産分与ではなく贈与として扱われ、贈与税の検討が必要になる場合がある |
| 離婚に伴う財産分与 | 財産を受け取った側には通常、贈与税はかからない。ただし、分与額が事情を考慮しても多過ぎる場合などは例外がある |
| 不動産そのものを財産分与した側 | 時価で不動産を譲渡したものとして、譲渡所得課税の対象になる場合がある |
国税庁によると、離婚によって財産を受け取った場合は原則として贈与税はかかりませんが、財産分与として土地・建物を渡した側には、分与時の時価を基に譲渡所得の課税関係が生じます。
⚠️重要:「離婚後なら税金がかからない」というわけではありません。贈与税・譲渡所得税はそれぞれ課税される人や条件が異なります。実際に不動産の名義を移す場合は、税理士などの専門家へ確認することをおすすめします。
査定額だけで不動産会社を選ばない
複数の不動産会社へ査定を依頼すると、査定額に差が出ることがあります。
その際、最も高い査定額を提示した会社が必ずしも最も高く売却できるとは限りません。査定額だけを見るのではなく、「なぜこの価格なのか」という査定根拠まで確認することが大切です。
✅ 周辺の成約事例を説明してくれるか
✅ 査定額の根拠が明確か
✅ 住宅ローンが残っている場合の流れを説明してくれるか
✅ 売却に必要な費用まで説明してくれるか
✅ 離婚に伴う売却事情を踏まえて相談できるか
まとめ:まずは家の現在価値を把握しよう
離婚時に家をどうするか考えるうえで、まず確認したいのが「家の現在価値」「住宅ローン残高」「家とローンの名義」です。
売却して現金化する場合も、夫婦のどちらかが住み続ける場合も、家の価値が分からなければ具体的な財産分与の方法を検討しにくくなります。
また、住宅ローンが残っている場合や共有名義になっている場合は、夫婦間の話し合いだけでは解決できない手続きが生じる可能性があります。金融機関への確認も早めに行いましょう。
家を売却するかまだ決まっていない段階でも、査定を受けて現在の価値を知ることはできます。
まずは状況を整理し、ご自身にとって納得できる選択肢を考えていきましょう。
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離婚後の家をどうするか、
まずは現在の価値を
確認してみませんか?
「売却した方がいい?」「ローンが残っていても売れる?」など、
まだ方針が決まっていない段階でもご相談いただけます。
ハウスマーケットでは、地域の相場や物件の状態を確認しながら、
売却価格の目安や売却までの流れをご案内します。
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